お隣恵那市に新しく誕生した、中核支援センター「ありんこキッズ nest」。
障がいのある子どもたちが安心して過ごせる“地域の居場所”として、2025年4月、完成しました!
お施主様は合同会社おひさま様、設計は o+h 様を中心とするチーム。
タイルメイドへお声がけいただき、建物の世界観に寄り添ったピクトグラムサインの開発でご一緒しました。

今回のブログでは、どうやってタイルのサインをつくったのか、どんな工夫や課題があったのかなど、制作の舞台裏をすこしご紹介します。
ロゴデザインを“タイルのサイン”へ落とし込む
ありんこキッズ nest の空間は、まるく、やわらかく、子どもたちの目線に寄り添うデザインが特徴です。サインもその世界観と一体となるよう、最初に共有いただいたのは、ロゴに描かれたやさしい線そのものを生かした図案でした。
いただいたロゴは、arinko kids とありんこキッズnestの2種類。こちらをタイルロゴにしていきます。

この繊細なニュアンスをタイルで再現するため、まずは石膏型による原型づくりから制作がスタートしました。タイルは焼成によって収縮するため、仕上がりのサイズを逆算しつつ、最終寸法の誤差が3mm以内に収まるよう、パーツの形状と厚みをひとつずつ調整していきます。

特に「あ」や「ズ」など複雑な形状の文字は、原型からきれいに抜ける形にすることが難しく、どの角度で型から抜くか、どの位置を調整するかといった細部まで検討が必要でした。抜けてもひび割れてしまうこともあります。
またタイルは粘土成形 → 乾燥 → 素焼き → 釉掛け → 本焼成という工程を経る中で確実に収縮が起こります。今回のように小さく複雑なパーツが多い場合は、とくに収縮の影響を受けやすいため、実際に試験焼成を行いながら、収縮率を計算 → 石膏型を再調整という作業を重ね、ロゴのラインがそのままタイルとして成立する形に整えていきました。

ロゴカラーを釉薬で再現する——試験焼成の積み重ね
今回のピクトグラムサインの色は、ロゴカラーに正確に寄り添うことを最優先に設定しました。ロゴデータの色味を参照しながら、釉薬の調合を微調整し、何度も色開発の試験焼成を実施します。

タイルの色づくり、サンプルごとに微妙な差が出るため、1枚ずつロゴと照らし合わせながら、 「印刷の色」を「焼きものの色」に翻訳する作業を積み重ねました。

また、子供を対象とした多くの施設がカラフルで明るいイメージであることが多い中、ありんこキッズのテーマカラーはブラックということで、とくに今回は「黒」にこだわった色開発も行いました!

最終的には、ロゴが持つやさしい色合いと、タイルならではの奥行きある発色が両立した、ありんこキッズ nest の空間に自然となじむ色が完成しました。
細かなパーツの施釉と焼き上げ
形が整ったパーツには、一つひとつ手作業で釉薬を掛けていきます。
今回のように細く入り組んだ文字が多いサインは、釉薬がたまってしまう箇所や、逆に薄くなりやすい箇所が生まれやすいため、全体の仕上がりを均一にするために スプレーでの施釉に統一しました。
ネットに丁寧にロゴを並べ、スプレーで施釉していきます。

ただし、側面はスプレーでは釉薬が届きにくいため、あらかじめ 筆で丁寧に側面へ施釉し、すべての面にムラなく色が乗るよう細やかな作業を重ねています。
こちらは、側面の色付けテストの様子です。

今回は、仕上がり重視で、筆塗り+スプレーという形を採用しました。
焼成に入ると、釉薬が溶けて表面がガラス質になるため、パーツ同士が触れているとくっついてしまいます。そのため、焼成板に並べる際も形状・間隔・置き方 を慎重に調整し、どのパーツも均一に美しく焼き上がるよう配慮しました。

窯から上がってきたパーツは、ロゴの表情そのままにやわらかいツヤが生まれ、ようやく“ありんこキッズ nest のサイン”としての姿が整っていきます。

取りつけ現場を想定した“裏面設計”
今回のサインづくりでは、タイルそのものの形状だけでなく、現場で迷わず取りつけができることも大切なポイントでした。
たとえばロゴの「o」にあたる輪郭パーツは、写真のように裏側へ“上向き矢印”を記してあります。このパーツはかたちの上下の判別がつきにくいため、裏面で向きを示すことで取りつけ時のズレを防ぐ工夫を施しました。

また、ピクトサインの“顔”となる小さなパーツも同様で、裏面に向きを示す刻印を入れています。サイズが小さく、表情の印象にも影響しやすいため、取りつけ方向がひと目で分かるようにしました。このように、デザインや色だけでなく、施工者さんが現場で迷わず取り扱える状態までを含めてサインのデザインと捉え、裏面にも配慮しました。

できあがったサインが、空間の一部になる瞬間
完成したサインは、建物の表情をつくる大切な要素。設計者・施工者・施設スタッフさんが少しずつ積み重ねてきた想いが、子どもたちの毎日の風景をつくっていきます。



今回タイルメイドとして関わらせていただけたこと、タイルのぬくもりが誰かの“安心”や“笑顔”につながるかもしれないこと。それが私たちの大きな励みになりました。ありんこキッズ nest の皆さま、
o+h さま、施工チームの皆さま、本当にありがとうございました。
・施主:合同会社おひさま 様
・設計:o+h 様
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