◼︎ご依頼の内容
設計事務所様を通じて、個人邸の外壁タイルのご相談をいただきました。
お施主様は、最初からブルーの外壁を希望していたわけではなく、まずは「その街並みや景色に寄り添い、住まいの象徴となる色」を探されていました。

既製品の色を選ぶのではなく、焼き物ならではの奥行きと揺らぎを生かしながら“唯一の色をゼロからつくる”という方向で話が進んでいきました。
お施主様は色に対する思想が深く、東京にも私たちを招いてくださり、
- 外壁としてどんな表情をつくりたいか
- 住まいにとって色がどんな役割を果たすか
- タイル開発に込めたい意味・価値
について丁寧に対話を重ねました。
その時間の中で徐々に輪郭が見えてきたのが、
濁りのない深さ、透明感、重厚さ、むらの揺らぎ、そして街の緑との調和を兼ね備えた“特別なブルー”でした。
■ TILEmadeが提案した、唯一のブルーをつくるためのアプローチ
お施主様が求めた「その景色にふさわしい唯一の色」を表現するため、TILEmadeでは焼むら(釉薬)の方向性をゼロから設計しました。
複数の釉薬と焼成条件を比較しながら深さ・透明感・反射具合を調整し、単色で仕上げるのではなく、複数の濃淡を同時に焼き込むことで“貼りあがったときに全体で揺らぎが生まれるブルー”を目指しました。
また東京での打合せでは、
- 光の入り方
- 時間帯での見え方
- 濃淡のバランス を共有し、現地の環境に最も合うブルーの方向性を検討。
外壁は経年変化が大きいため、長く美しさを保つ釉薬設計も重視し、納得のいく色味にたどり着くまで数多くの試作を重ねました。
■ 色出しからコーナー開発まで──試作を重ねたタイル開発の舞台裏

今回のプロジェクトの大きな特徴は、「色出しをお施主様と一緒に積み重ねた」ことです。
焼成具合の異なるサンプルを10パターン以上作成し、晴れ・曇り・朝夕など光の変化による見え方を比較し、外壁の大きな面でどう見えるかを検証。ランダムMIXで貼った際の“面としての表情”も細かく確認しました。

特に課題となったのは、多くのコーナー(曲がり)がある建物の形状です。
外壁に使う「平タイル」と「コーナー用タイル」は別々に焼くため、色ずれが起きやすい非常に難しい工程になります。
そこで今回は、
- コーナー専用の釉薬調整
- 焼成のテスト・微調整
- 平と曲がりを同ロットで管理
- 光沢の揺らぎがそろうまで再試作
といった工夫を重ね、ほぼ色ずれのない美しいコーナーを実現しました。

建物の角がまるで“一枚のブルータイルで繋がっている”ように見える仕上がりは、本プロジェクトならではの大きな成果です。
■ 完成した外観──光で表情が変わる深いブルーのファサード

仕上がった外壁は、深いブルーが建物全体を包み込み、光の加減でさまざまな表情を見せる豊かな外観となりました。
- 晴れの日:透明感のある鮮やかなブルー
- 曇りの日:静かで落ち着いたネイビー
- 朝夕:光の角度でハイライトが走り揺らぐ表情
- コーナー:滑らかで連続したブルーの縁取り
植栽の緑とも美しく調和しながら、街並みに自然に寄り添う外観をつくり出しています。
お施主様が求めていた“その土地にふさわしいブルー”が、確かな形として立ち上がりました。
■ 最後に
今回のプロジェクトは、色づくり・焼成調整・コーナー開発まで、すべての工程を丁寧に積み上げて実現した特注外壁タイルです。お施主様のこだわりと、TILEmade の技術が深く交差することで、世界にひとつのブルーが住まいの象徴として息づく外観となりました。

撮影当日、お施主様は「普段は写真は得意じゃなくて…」とおっしゃりながらも、快く撮影にご協力くださいました。大切なお住まいを記録する時間をご一緒できたことに、心より感謝いたします。
TILEmade へのご依頼・お問い合わせ
TILEmade では、空間に合わせて色や質感を一からつくる特注タイルの開発を行っています。
住宅・店舗・公共空間など、規模や用途に関わらずご相談いただけます。
「この空間に合うタイルを一緒につくりたい」
「既製品では叶わない色や表情を実現したい」
そんな思いがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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