アトリエフルカワ一級建築士事務所の古川代表によるタイル紹介

ー東久留米、小平、清瀬のコミュニティFM、FM854で第三日曜日20時から放送の「古川泰司の森からぼたもち?!」

古川さん:今回はね、ぜひ使いたいなと思っていたのがタイルなんですよ。

ータイルですか、木じゃなくて?

古川さん:そうなんです、焼き物ですよね。焼き物も、土ですよね。

ーああ、そうか!

古川さん:今回は、木と土と紙って、三つ出てきたでしょう。

ーなるほど。

古川さん:一つは土なんですよ、タイルでね。タイルって、なかなか奥が深い世界なんです。これまたご縁があって、タイル用の釉薬会社さんと知り合いになったんです。

ーはい。

古川さん:釉薬って、タイルの「色」になる素材ね。焼き物の表面に塗るものです。釉薬をタイルに塗って、焼いた時に発色してぱーっと色が出る。そんな釉薬を調合する会社があるんですよ。岐阜の瑞浪(みずなみ)っていうところにあって、岐阜だと多治見っていうところが焼き物で有名だけど、そこからちょっと入ったところに玉川釉薬さんっていうタイルの釉薬を調合する会社があるんです。

古川さん:玉川釉薬さんは、大手メーカーのタイルの色を調合してるんだけど、量産品で、同じものをたくさん作るという世界なわけ。でも、やっぱりタイルというのは一枚一枚焼きムラがある方が自然なわけですよなるほどね。

ーはい。

古川さん:さっきの話とたぶんつながるんだけど、要するに、全部一緒みたいな、のっぺらな、同じものバンバン作ってばりばり貼っちゃえみたいな話の世界とは違うんだよ。

例えば、漆喰の壁の話で、漆喰の壁もよく見るとさ、左官屋さんのコテの手の跡が見えるんですよ。だからビニールクロス貼ったのとは全く違うんですね。

ーそうですね。

古川さん:なんかその人の何か気配みたいなのがうっすらとやっぱり残ってくれるとさいいなと。俺が作ったんだー!みたいなのはやかましいと思ったりするんだけど、ちゃんとうっすらと見せるみたいな。そういうのができるといいなと思う。

ーうんうん、なるほど。

古川さん:玉川釉薬さん(TILEmade)の面白い試みは、釉薬の調合をしてくれるんですよ。釉薬の調合ですよ!

ーすごいですね。

古川さん:あなたの、あなたにしかない色を調合しますという展開をしていて。今回もそれでやりたかったんだけど、いかんせんですね、納期がかかる。

ーなるほど、やっぱりね。

古川さん:うん。調合して、試し焼きして、見てもらって、これでいいかな?みたいなやりとりがあって、そこから、もう一回焼いてみようか!とか色々あるからね。試行錯誤する必要があるから。

ーパソコンですぐ見せるわけいかないですよね。

古川さん:そうそうそう。焼いてみないとわからない。で、じゃあどうしようかなっていう時に玉川釉薬(TILEmade)さんのところは、紺色のオリジナルタイルを持ってるんですよ。

ーはい。

古川さん:いろんな焼きムラがあって、これいいなという自分のところの推し、というか、おすすめを持っていて。

古川さん:そのタイルの見本を見せてもらったら、すごいいい色でね。それで、建主さんも紺色がいいと言ってたので、気に入ってもらえるんじゃないかな?と思ってサンプルを見てもらったら、ああ、いいですね!っていうことになって。そのタイルを使わせてもらうことになったんです。

今回採用された際の「青むらタイル」

古川さん:これがね、またすごく人間臭いんですよ。色むらがそこそこあるから。それがダメだっていう人もいるかもしれないけど、その色むらがあるのが人間臭い。だって自然ってそういうものじゃないと思う。真っ白な、クセとかムラとかがない世界を構築するのが好きな人もいると思うけど、もしそうだとしても、何かちょっと人間臭いところがひとつあったらいいなと思ったりするわけです。

古川さん:玉川釉薬(TILEmade)さん、検索するとでてきますが、オーダーメイドのタイルを作ってもらえます。通常は、大手タイルメーカーの下受けの釉薬調合をしています。大量に、同じ色になるような調合で出荷して納めることをやっているので、そういう意味では、職人的な技術力が半端ない。

ーなるほど。

古川さん:そこから一歩踏み込んで、ちょっと遊びのあるというか、ヒューマンタッチな感じの、オリジナルな展開ができないかとやっている。少量だからできることもある。なかなか面白いでしょ。

ーそうすね。

古川さん:こういう素材を使わせてもらった。今回素材自体はそれぞれ別なんだけど、できあがった空間の中でひとつひとつ響き合っていて、今回成功したなという感覚があった。リノベーションは、仕立て直すみたいな感覚。空間が全く変わってくる。素材一つでこのぐらい変わるんだと思った。

古川さん:みなさんの素材に対する愛がある。やはりそこは、工場で一円でも安くという世界のものとは違う建築素材を提供していこうとしている。僕は、そういう人たちの思いや愛に共感して、どうやって全体のバランスをとっていこうか考える。そういうのが建築設計の仕事だと思っています。

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